臨床開発を中心とした医薬品開発におけるプロジェクトのリーダーの役割の違い
医薬品開発/臨床開発(治験)に関与する様々なリーダー(スタディマネージャー、プロジェクトマネージャーなど)の違いを整理して説明します。
武田薬品工業株式会社、アステラス製薬株式会社、第一三共株式会社、ファイザー株式会社等
医薬品は一般消費者が直接、薬局やドラッグストアで購入できる「一般用医薬品」と医師の処方箋が必要な「医療用医薬品」に分けることができます。医療用医薬品の中で新規の薬効成分をもつ医薬品を新薬(先発医薬品)といいます。新薬の研究開発から製造販売まで行っている会社を先発医薬品メーカーといいます。そして、先発医薬品メーカーの使命は治療方法がない、あるいは十分な治療方法がない疾患に対し新薬を創出することです。
そのために、薬に関し、研究開発、製造、販売、販売後の安全管理などを行っています。
◆研究開発
基礎研究・・・医薬品開発は植物や微生物由来の物質からの抽出や合成、最近はバイオテクノロジーや遺伝子などのさまざまな技術を活用して、新規の有効成分(物質)=医薬品候補物質を作り出すことを言います。
なお、疾患が発現する機構を解明することで、どのように作用する薬を作ればよいかという研究もしています。
非臨床研究・・・医薬品候補物質を対象に、培養細胞や動物でその物質の有効性や安全性をGLPに則って試験します。試験には薬物動態試験(吸収・分布・代謝・排泄)、薬効・薬理試験、安全性試験(毒性試験)というのがあります。
臨床試験(治験)・・・非臨床試験で有効性や安全性を確認後、実際にヒトに効果があるかどうかを調べる臨床試験(治験)を行います。
◆製造
規制当局からの製造・販売承認を得て初めて販売用の医薬品の製造が可能となります。
医薬品は人の体内に入り生命に関係する製品であるため、徹底した設備・品質の管理(規格から外れた不良品の排除)が求められます。そのため、GMPというルールを遵守して行うよう定められています。
◆販売
自社の医薬品を適正に使用してもらうために、MR(医薬情報担当者)が医師・薬剤師等の医療関係者に対して、医薬品の有効性・安全性・使い方等の情報を提供します。
◆安全性管理等
臨床試験(治験)で新薬の安全性は確認されていますが、限られた範囲の患者(年齢、性別、合併症、併用薬等)での試験ですので、実際の臨床現場では治験で対象でなかった方にも処方されます。その結果、臨床試験ではわからなかった副作用が発生することは想像に難くありません。そういった副作用などは早期に発見し、医療関係者に報告し、同様の副作用が発生しないよう慎重に投与してもらうなどする必要があります。そのために、製薬会社は法令に基づき、市販後調査やファーマコビジランス活動を行い、市販後も日々、薬の使われ方を確認し、医薬品が安全に使われるよう活動しています。
1.日本市場の魅力の低下とグローバル化
国内医薬品市場は少子高齢化により、医療費が増加傾向しており、歯止めをかけるために規制当局は薬価引き下げを強化しました(2年に1度の薬価改定が2021年より一部製品は毎年改定)。それにより薬剤費の抑制を行っています。そのため、外資製薬会社は日本市場を重視しなくなり、例えば日本での治験・承認申請を行わないといった選択をすることも増える傾向にあります。その傾向は、海外展開に注力する国内大手メーカーも同様で、会社によっては国内のMRをほぼ半減させ、海外での販売に注力しています。
また、創薬の面でも、自社創薬からバイオベンチャーやアカデミアが持っているシーズや技術を取り込むという流れが主流となり、その結果国内大手メーカーはR&Dのヘッドクォーターを、バイオベンチャーやシーズの情報が集まるアメリカに置くようになっています。
以上から、「グローバル化」は製薬業界における重要なキーワードとなっています。
2.難治疾患と新しいモダリティへのシフト
糖尿病や高血圧などのいわゆるプライマリー領域と言われる疾患におけるアンメットメディカルニーズは、現在多数出ている製品でかなり満たされたと言われています。
そこから、多くの製薬会社は、がんや希少疾患など難治性の疾患領域をターゲットにするようポートフォリオを大幅に変化させてきました。
また、難治性の疾患ゆえに技術面でもこれまでにないもの求められ、モダリティの面でも免疫療法、再生医療、遺伝子治療など画期的だが高い技術が必要なものにシフトしつつあります(もちろん、この背景には、バイオ技術や、遺伝子解析をおこなうためのコンピューター科学の大幅な進展など基礎技術の進展も大きく影響しています)。
3.医療ビッグデータとペイシェントジャーニーへのアプローチ
多くの医薬品が世の中に流通し、競争が激化するなかで、従来の「モノづくり」を行うメーカーを超えたビジネスを展開する製薬会社が徐々に出てきています。
競合との差別化のために、薬の投与=治療段階だけでの貢献ではなく、ペイシェントジャーニー全体に対し、関与・貢献していこうという流れがあります。例えば、早期の疾患(の可能性)の発見のための診断についての研究、アプリを配布しての患者さんの日々の治療行動の管理・促進などです。
また、このような背景には、医療ビッグデータの整備が進み、活用できるようになり、それら医療ビッグデータから、患者さんの受療行動などがよりリアルに把握できるようになったというものが例として挙げられます。
また、服薬している患者さんがアプリを利用してくださることで、さらにデータが集まり、薬の投与段階に限らずペイシェントジャーニー全体のなかでのアンメットメディカルニーズがより詳細に把握され、製薬会社は新たな貢献を検討するというサイクルになっています。
以上のような業界動向から、
に関し、採用意欲は旺盛です。
一方、製薬業界の職種として大きな割合を持つMRに関しては、日本市場では減少傾向です。ピーク時に6.5万人超いたMR数は、2022年には5万人を割っています。上記業界動向からみても、今後この傾向はさらに加速され、MRに関しては今後も定期的なリストラ(人員削減)がおこると思われます。
国内医療用医薬品生産額推移
※厚生労働省「令和3年薬事工業生産動態統計年報の概要」を基に、insprie株式会社で作成
【職務内容】 - 医薬品(注射剤)の製造作業(分画、精製、製剤、検査包装の4グループで構成されています) - 上記製造業務に付帯関連する業務(準備・片付け・清掃など) ※業務具体例(配属グループ及び経験スキルに応じます。) - クリーンルーム内外での製造機器の操作 - 使用する器具・部品の洗浄 - 製造環境の清掃、消毒 - 用水設備、空調設備の維持管理 - 製品検査・包装 - 標準作業手順書、作業記録書の制改訂などのパソコン業務 - 医薬品製造のために必要な教育の受講
募集中
職務内容 • ワクチン商用製品、治験薬の 試験技術・マネジメント または補助業務 • 国内外関連部門、提携先からの試験法技術移転、技術的サポート • 製造部門との協働、試験サポート管理 • 国内外の試験受託機関への試験法技術移転、試験マネジメントなど
募集中
GMPに関する知見を基に、新規ワクチンの商業生産化、そして既存ワクチンの更なる製造安定化と価値向上に資する業務を行っていただきます。 <新規ワクチンの商業生産化> ・ワクチン製造プロセス・設備に関する技術検討やバリデーションの立案・実行 <既存ワクチンの更なる製造安定化と価値向上> ・製造プロセス改良、有効期間延長、マテリアル変更に関する技術検討やバリデーション ・価値向上のための製品改良業務など (例)・最新GMPに対して洗浄バリデーションプログラム(分析対象物質、洗浄方法、サンプリング箇所など)のアセスメントを行い、それを文書化する。分析対象物質を正しく評価できる手法を開発し、変更後の洗浄方法が妥当であることを示すデータを製造部門と連携して取得する。 ・原材料や製造法の変更にあたり、変更が品質に与える影響を評価するために必要な情報を精査し、実験検討やバリデーションを立案する。ラボスケールや商用スケールで製品を試製してデータを取得し、変更が品質に与える影響を評価し、その変更を関連部門と連携して推進する。 ・プロジェクトチームと連携し、グローバルスタンダードの生産設備や製造プロセスをデザインし、投資額やタイムラインを策定する。
募集中
職務内容 以下のワクチン注射製剤の製剤開発に関する業務に従事頂きます。 製剤設計(処方、剤形の設計) 製剤製造プロセス設計(治験段階~商用に応じた製剤製造法の開発) バリデーション、治験薬製造設備・機器の管理、治験薬製造・供給 商用スケールへのスケールアップ検討、商用部門への引き継ぎ 申請書類の作成、照会事項対応、査察対応など
募集中
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