前回の記事はこちら:
*前回掲載したⅠ~Ⅲを踏まえ、今回はⅣ~Ⅵを掲載しています
Ⅳ.「派遣x受託」ハイブリッドCROとして提供できるユニークなCRAのキャリア
小川:世の中の動きからすると、CROで受託と派遣と考えた時に、派遣事業から撤退していくCROが多いという印象があるのですが、御社はそこで両方、むしろ派遣事業も拡大されている背景なり、御社の戦略などを伺えればと思います。
岡野様:この部分はいつも代表も申しているのですけども、派遣型CROが受託の方にシフトして派遣の案件が少なくなってきたというよりは、受託の方のリソースが足りないので、派遣の人材を受託の人材に回している、そういう実態の方が、大きいと思います。そう考えますと派遣はそもそもまだまだニーズがあると考えています。
弊社が受託事業に注力している背景は、社員の人材育成ニーズとして、やはりマネジメント、特にピープルマネジメントのスキルを築きたいというものがあります。派遣ですとプロジェクトのリードは経験できますが、ピープルマネジメントは経験できないといった悩みがあり、そうであれば受託の方でそういうポジションを作っていった方がいいのではないかといったところでスタートしている部分があります。
ですので、派遣を縮小し受託にシフトしようとしているCROとは考え方が違い、派遣も受託も拡大していきたいし、そうしていくことで相乗効果をあげて行きたいと考えています。
そういった意味で、社員からすれば、2つ両軸で選べるようにということを重視しています。
小川:なるほど。
岡野様:一方、会社の営業戦略的には、まず派遣で製薬会社内部での就業を開始し、試験に慣れたところで受託案件に切り替えたという実績もございます。
更にもう1パターンあり、今受託している案件もそうですが、弊社で受託している試験の製薬会社側のプロジェクトチームにも弊社の派遣社員を配置していただくという形態もあります。そうすることで、製薬会社と弊社の受託チームのコミュニケーションがスムーズになるという効果があり、このクライアントにも評価していただいています。
小川:なるほど!
岡野様:このようにハイブリッドで案件を獲得していますね。
小川:そうですか。そういう意味では色々な経験も積めますし、社員のキャリアにも有利に働くということですね。
岡野様:そうですね。受託だけになりますと、CRAは「この領域以外の経験が積みたい」となった時に、アサインされている試験の領域以外は経験が出来ないといった状況になります。一方で、派遣の場合は、選択肢がかなり広がるといったところでご自身のキャリア開発にもつながっていくかなと思います。
受託から派遣、派遣から受託のどちらの異動も今まで実績があり、この点は弊社でのキャリアを積むメリットです。
小川:そうすると、派遣から受託、受託から派遣といった異動は可能ということですね。その頻度というのはどのくらいなのでしょうか?
岡野様:ご本人の希望と受託部門のニーズ次第になりますが、比較的派遣を希望して就業されている方はずっと派遣を希望される場合が多いですね。
逆に受託で働いている方はたまに外を見てみたいということで、派遣を希望される方もいますので、実績としてはそこまで多くは無いのですが、受託から派遣もありますね。
ただ、出産などのライフイベントの際、派遣での時短案件もあるのですが、フレックスタイムの適用等、派遣先に準ずるとなってしまうので、その時期だけ受託事業で働き、フレックスを使う、1時間単位の有給休暇を取得するなど、ライフイベントに応じて派遣、受託を選ぶという働き方ができるのも弊社のメリットです。
小川:このあたりは、派遣事業がしっかり軌道に乗っており、そのうえで受託事業もお持ちの御社ならではの、CRAに提供できるキャリアの機会ですね。
Ⅴ.様々な制度や社風
≪派遣社員の評価制度≫
小川:社員の評価はどうされていますか。やはり派遣と受託で分けているのでしょうか? 特に派遣の場合、日々の業務を細かく見ることができないなかで、適正に評価するのは簡単ではないですよね。
岡野様:派遣と受託双方で同一の弊社“MBO”目標管理制度を導入しておりまして、年度初めにご自身で目標を立てていただいて、それに対して評価を年度末に行います。派遣の方の評価に関しては、派遣先の指揮命令者の方に依頼をさせていただいております。
≪教育研修≫
小川:教育研修、これは派遣・受託共通だと思うのですが、教育研修についてはどのようなテーマで、どのような形でやられているのでしょうか。
岡野様:教育研修は今年4月にかなり拡充したばかりなのですが、ソフトスキル研修についてはeラーニングで、コミュニケーションスキルや、問題解決のコンテンツなどを月に1回指定してご自宅でやっていただく形式になっています。ですので、派遣の方に関しては、就業先の就業時間以外で受講していただくのですが、その時間はもちろん残業代として支給させていただきます。
職務に関する専門教育、例えばGCPの運用レベルの問題ですとか、統計解析の最先端の手法といったものは、部門ごとに個別にフォローしています。
教育研修は弊社としても特に注力してやっていかなければならないと考えておりますので、専門教育が出来る体制を作るための人材を今募集しているという状況です。
小川:そうなのですね。
≪働き方、ワークライフバランスを保つために≫
小川:視点を変えて、CRAの方の場合どうしても繁閑といいますか、忙しいときはすごい残業があったりしますが、そういったワークライフバランスを保つための取組みたいなのは何かされていますでしょうか?
岡野様:受託の方に関しては、結構こじんまりした組織でやっていますので、グループマネジャーが結構細かく残業時間を見ていまして、一人に偏らないように、偏ってしまった場合は施設の担当を変える、他の人に振るなど、対処しています。
派遣に関しては、残業時間が増えれば、社員の健康管理上の問題となりますので、弊社から派遣先と協議します。あまりにもそこが改善できない場合は、派遣先を変えるという判断を取らざるを得ない場合もあります。
小川:在宅勤務とかフレックスの体制、有給休暇が1時間単位で取れると伺いましたが、それについてどのような使い方をするのでしょうか?
岡野様:会社としては月4日出社でそれ以外の16日は、在宅可能にしています。基本的にほぼ在宅。緊急事態宣言下に関しては月4日を撤廃させて、出社は上長の承認制という状況になっています。
フレックスに関しては11時~15時がコアタイムとしています。
小川:11時~15時なのですね。
岡野様:はい。元々、10時~15時でしたが、病院に通院してから出社すると間に合わないという社員の声もあり、早期受診をお勧めするために11時に変更しました。早い方ですと朝7時くらいに始業を開始して、早めに終わらせるとか、出社の時は時差出勤で遅らせるとか、皆さん適宜対応されていらっしゃいます。
派遣の方は、派遣先の就業時間、休日に準ずるという形になりますが。
小川:そうですよね
岡野様:ですので、フレックスと有給休暇の1時間を有効に使えるので、1日有休を使うということがあまりない形になりますね。
小川:所定労働時間は8時間ですか?
岡野様:はい、8時間です。
小川:11時からがコアタイムだとだいぶ楽だという人もいますよね。
岡野様:そうですね。
小川:一般的には10時からが多いですね。
≪社風、社員同士のコミュニケーション≫
小川:派遣の方は当てはまらないと思うのですが、社風と、どのようなキャラクターの人が多いのか聞きたいのですが。
岡野さんを見ているとだいたいなんとなくわかりますが(笑)
岡野様:(笑)。100%中途採用の会社ですので、みんな個が強いといいますか(笑)。
あとは今まで前の会社でよかったことを今の会社でも導入しようという気持ちが皆さんあるので、それを「やめろ」っていう方がいないですね。何か意見があって、何か変えたい気持ちがある方はそれをやってくださいという社風です。その理由としては、やはり代表が頭ごなしにNoと言わないタイプで、じゃあやったらいいんじゃない? と言ってくれるので、意見はすごく飛び交う社風ではありますね。
小川:言いたいことを言いやすい会社っていう感じですかね。
岡野様:一番社長が怒られてるみたいな(笑)。下から上には言いやすい環境だと思います。
小川:(笑)。そういう意味ではコミュニケーションはほんとによく取れている会社なんですね。
岡野様:そうですね。ミーティングもよくやりますし、ミーティング以外にもTeams、チャットでよくコミュニケーションを取っています。
小川:今こういう状況なので、なかなか飲みに行ったりすることができないですけれど、明けるとまた始まるのかもしれないですね。
岡野様:一度、大阪所属のCRA15人ぐらいで、オンライン飲み会をしたようですが、15人くらいいるとやりにくいところもあったみたいですね。
小川:そうですね(笑)。手を挙げても聞いてくれないかもしれないです(笑)
岡野様:「オンライン飲み会は3~4人くらいが一番いいです」とチャットにありまして(笑)。そこから大人数でのオンライン飲みは一切やってないです。(笑)ただ、オンラインランチはやっている部署もあるみたいです。
小川:特定の社風がないのが強みですね。
岡野様:そうですね。例えば、新卒派閥がないのも強みですね。
≪女性社員の比率、育休からの復帰≫
小川:女性が多いとありましたが、比率としてはどれくらいですか?
岡野様:今、女性が約8割ですね。
小川:すごいですね!
ー女性の管理職は何人くらいいるのでしょうか?
岡野様:グループマネジャーとしては、開発部長が女性ですので。
小川:そうなのですね。先ほどのGMの3人のうちの1人ですか?
岡野様:はい
小川:6名中1名が女性ですね。
岡野様:はい
小川:先ほどライフイベントの話がありましたが、女性ができるだけ長く働けるような取り組みとか何か実施されていることがあれば。
そういえば、岡野さんも子育て中で、時短勤務ですね。
岡野様:そうですね。時短で入社する方も他にもおります。そのため、本人の希望と会社のニーズをすり合わせる動きはしてくれます。
小川:そうすると、育児が終わったら辞めちゃう人はゼロですか?
岡野様:ゼロですね!
小川:基本的には100%戻って来られるということですね。
岡野様:はい。
小川:派遣か受託で、派遣でCRAをできる方は元通り派遣に行かれるが、外勤が多いCRAが難しいといったケースがあると思いますが。
岡野様:そうですね。CRAで育休を取られた方で、育休から戻ってこられて内勤CRAや、PLサポートなど、出張がないお仕事に就かれる方もいます。
小川:そういう派遣案件もあるのですね?
岡野様:あります!
小川:そういう可能性もあるということですね。わかりました。
岡野様:ママさんで、今QMの仕事をされている方もいます。
小川:了解しました!
Ⅵ.採用への取り組み、会社としての更なる飛躍に向けて
≪カジュアルな採用説明会、イベント開催≫
小川:最後に、求職者対し、御社に対する認知度を上げる、興味を惹き、応募意欲を高めるための取り組みなど、何かされていましたら、教えていただけますか?
岡野様:元々、面接の際に必ず会社の説明を実施するといったことは会社をわかっていただくために実施しています。ただ、いきなり選考に行くとハードルが高すぎるといったところがありますので、カジュアル面談も積極的に実施しております。また、選考も面接というよりはご本人が入社後にギャップを感じないよう、キャリアアドバイスのようなお話をする場合もあります。それ以外に、新しい取り組みとして、8月から3回、Webセミナー(採用説明会)を企画しております。
小川:この間ご案内いただきました!
岡野様:予約不要で、名前の開示も不要、ニックネームでの参加で構いません。そういう自由参加のセミナーを開催しています。ただ、まず大事だと思っているのは。弊社の説明よりも、「派遣と受託の違いって何?」ですとか「CRAからキャリアチェンジした人ってどういう人?」とかそういう、CRAの中長期的なキャリアにとって本質的なコンテンツを提供することを大切にしています。そして、このwebセミナーをキッカケとして弊社を知っていただくことを着地点と考えております。ですので、時間を長くはせず30分ずつの時間とし、今は在宅の方も多いので、お昼休みに自宅で、ラジオ感覚で聞いていただいて、適宜途中退出していただく形式です。
派遣や弊社に興味をお持ち頂いた方はその後ご連絡をいただいて、カジュアル面談で正式に会社説明しますよ、といったような流れにして居ます。
≪会社、業界の今後について≫
小川:今後会社として、業界、市場環境はどのように変わっていくと予想されていますか?
岡野様:CRO業界は勝ち負けがすごくはっきりしていまして、大手CRO同士の競争が激化し、外資1強の状況ではありますが、その中で大手が対応しきれてない市場というのもまだまだあるかと思いますので、弊社としてはすごく伸びしろはあるかなと思っておりますね。その中でも、ハイブリッドで両方対応できる会社は母数としては少ない状況ですので、そこの部分で市場を取っていきたいな、と考えていますね。
小川:隙間がいっぱいあるからといったところですね。
岡野様:大規模試験よりも小ぶりの試験、みたいな(笑)
小川:ありがとうございます。
岡野様:今、臨床研究も一部立ち上げをしておりまして、
小川:仰っていましたね。あれはリクエストがあったのですか? 御社内、あるいは企業側からでしょうか?
岡野様:元々、弊社の受託部門のモニタリンググループのリーダーの一人が、臨床研究事業をやりたいと手を挙げまして、やりたいのであればビジネスプランを考えて事業化できることを示してくださいと開発本部長が伝えたら、しっかりしたプレゼン資料を作って…!(笑)
小川:へぇ!
岡野様:それで、全部自分一人で営業も行って、ある中国地方にある大学病院にアプローチした結果、そこでARO(Academia Research Organization)の立ち上げを手伝ってほしいという話になりまして、今回そこで募集しています。今はまだ1人なので。
小川:じゃあ今後は3本目の事業の柱になりそうですね。
岡野様:そうですね、会社と共に成長していければ良いと思います。
◆担当コンサルタント inspire株式会社 小川善之の感想
アスパークメディカル様について、これまでのイメージは派遣事業のみで受託事業についてはこれからの会社かなと思っていましたが、今回岡野様から詳しくお話しをお聞かせいただいて、イメージが大きく変わりました。派遣事業についてはクライアント企業からの信頼が高くリピート案件も多いので今後も成長されると思います。さらに、受託事業についても製薬会社ご出身のマネジャーが加わり体制を強化されていて、対応できる案件も徐々に増えている印象を持ちました。 採用担当者の岡野様のお人柄もよく、応募者の気持ちに立ってご対応いただけるので、安心してご推薦できる会社であると感じています。 |