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2024-07-04 15:39

現CRAに伝えたい 承認薬剤が医療現場でより輝くために

現CRAに伝えたい 承認薬剤が医療現場でより輝くために
承認された新薬が、さらに医療を発展させていくために何が必要なのか、本稿でお話いたします。

こんにちは。当サイトMedical Career Platformを運営している人材紹介会社、inspire株式会社のコンサルタント、そして元CRAの峰尾です。 

 

治験で確認する新薬等の有効性と安全性。これは、当然ながら医療にとって非常に重要な情報であり、新しい治療法が生まれることは医療の質を大きく向上させることに繋がります。しかし臨床現場において、治療法に効果があり、安全であるという情報のみで医療を発展することができるでしょうか?CRAをしているとなかなか臨床現場での使われ方などに思いを巡らせることは少ないのではないでしょうか? 

 

医療を発展させていくために何が必要なのか。本稿で確認いただければと思います。 

 

 

1. 臨床現場で求められるデータ

 

治験では新薬を世に出すという目的に向かって、日々データを収集しています。 

しかし、臨床現場では患者背景は様々です。医者としては個々の患者に合わせてカスタマイズして治療法を選択していく必要があります。ただ新薬が出ても、目の前の患者さんにとって最適な治療法なのか、判断するための根拠(データ)がありません。 

 

このようなクリニカルクエスチョンを解消するのが臨床研究です。 

 

実際のクリニカルクエスチョンを見てみましょう。 

・ある抗悪性腫瘍剤では副作用として好中球の減少が有名だが、具体的にどのような状態の患者様に好中球の減少が起こりやすいのか(*1) 

・腎機能が低下した患者様や高齢の患者様における、慢性心不全に対する薬剤の有効性・安全性はどうか(*2) 

・ある抗てんかん剤では母乳中に移行するとの報告があるが、実際に乳児への影響はどうなのか(*3) 

*1:徳山中央病院 webサイトより 

*2:愛媛大学医学部附属病院 薬剤部 webサイトより 

*3:千葉大学医学部附属病院 薬剤部 webサイトより 

 

これらをご覧いただくと、確かに治験では確認しないけれども、臨床現場で治療を行うには必要な情報だと感じられるかと思います。 

 

臨床現場では治験のスクリーニングで漏れてしまうような患者様にも薬剤や治療を〇〇したい、という場面が出てきます。また、治験ではどのような副作用が、どのくらいの頻度で発生するかというエビデンスを得るにとどまってしまいます。しかし、臨床現場の医師は「副作用が出る可能性があるのは分かったが、どのような状態の患者様であれば副作用の発生を抑えられて安全に使用できるの?」となるわけです。 

 

よって、患者ごとに合わせた治療を質高く提供するためには、臨床現場で生まれるクリニカルクエスチョンを解消する臨床研究を行うことが必要不可欠なのです。 

 

 

2. 臨床研究の実例

 

では具体的に、臨床研究の実例を見てみましょう。心房細動合併冠動脈疾患症例の治療法に関する研究(*4)を取り上げます。 

*4:メビックス株式会社様ご提供情報を参考に作成

 

心房の異常な動きにより心臓本来の動きができなくなる心房細動では、抗凝固療薬を投与します。一方で、心筋の酸素不足により胸痛発作が起こる冠動脈疾患に対しては抗血小板薬を投与することが必要とされています。 

 

実際の医療現場ではこれら2つの心疾患を併発している患者さんもおられ、併発した場合にはそれぞれの標準治療である抗凝固薬と抗血小板薬が併用される治療が一般的とされてきました。ここでクリニカルクエスチョンが発生します。複数の薬剤を組み合わせた抗血栓療法は出血におけるリスクも高めることになり、臨床現場では最適な抗血栓療法が求められてきました。 

 

そこで、冠動脈疾患を合併する心房細動患者を対象に、抗凝固薬のみを投与する群と抗凝固薬・抗血小板薬を併用する群において有効性・安全性を比較する臨床研究を実施。約2年間の観察を行った結果、抗凝固薬のみの投与でも抗凝固薬・抗血小板薬の併用に劣らず脳梗塞や心筋梗塞等の疾患を予防できること、加えて出血におけるリスクも低下することが示されました。これにより、診療ガイドラインでは抗凝固薬のみの投与が標準治療として記載されるに至ったのです。 

 

まさしくこの例は、臨床現場のクリニカルクエスチョンを臨床研究により解消し、医療の発展に貢献した事例と言えるでしょう。 

 

 

3. 医療の発展を担う臨床研究

 

臨床現場には明らかにしなくてはならない数多くのクリニカルクエスチョンがあります。医療が発展し、様々な患者様に対応した医療を提供するためには、治験のみならず十分な臨床研究の実施が必要です。 

 

本稿を通して、医療の発展には治験で生まれる新薬だけでなく、臨床研究で構築されるエビデンスが重要だと感じていただけましたら幸いです。 

 

昨今は、臨床研究に特化してモニタリングを行う「臨床研究モニター」も増えてきています。臨床研究モニターの具体的な職務内容やCRAとの違い、現在募集している求人をお知りになりたい方は、是非弊社の無料転職相談へご連絡ください。 

 

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<執筆のご協力をいただいた企業様> 

メビックス株式会社  *リンクをクリックいただくと、本サイトの「企業辞典」に飛びます

臨床研究の受託に特化したCROで、国内No.1の臨床研究受諾実績を有しています。加えて、臨床研究の活性化を目的としたメビックス社主催のフォーラム(メディカル・アフェアーズ・フォーラム)の不定期開催を通じて、臨床研究の将来や課題に関する意見交換も促進しています。 

また、メビックス社はエムスリーグループの一員です。試験情報の打診など各種業務において、インターネットを活用した効率化を図り、臨床研究のスピードアップやコスト低下を実現しています。 

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<執筆> 

inspire株式会社 事業推進部 峰尾竜徳 

大学院(医歯理工学専攻)卒業後、内資大手CRO に入社し、臨床開発部に配属。CRAとして、中枢神経領域のプロジェクトに立ち上げ~終了まで携わる。その後、大手人材情報サービス会社に転職し、医学生向け web サービスの運営(コンテンツ企画 集客等)を経験する。これらの経験を持って、メディカル専門の人材紹介inspire株式会社に入社。Medical Career Platformの立ち上げのプロジェクトマネジャーを担当。現在はその運営を担う。 

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