転職の進め方とコツ

STEP4.応募書類の作成(特に職務経歴書の戦略的な書き方)

転職の進め方とコツ4
目次

前回ご説明した情報収集に基づき、応募先候補がある程度見えてきたら、本格的に応募書類の作成に取り掛かります。

(1)準備すべき応募書類

・履歴書
・職務経歴書
・志望動機書(必須の会社も有り)
・英文レジュメ(外資系や英語力が求められるポジションであれば必須の場合が多い)
など、各企業によって必須・任意の応募書類は異なるのでしっかり確認してください

次に、なぜ本格的に応募書類を作成するのがこのタイミング(=応募先候補がある程度見えてきたタイミング)かについて説明します。

その理由は、同じ経歴・経験でも、応募先にあわせて何を強調するか、どう表現するかは変わってくるからです。

以前、あるCRAの方が臨床開発部門の教育担当ポジションに応募する際、いかに多くの症例を獲得してきたのか、いかにGCPバイオレーションが起こらないよう丁寧に進めたかなど、徹底的にCRAとしての有能さをアピールする職務経歴書を準備されたことがありました。

もちろん、大前提として自身の役割であるCRAとしてきちんとやってきたことを示すのは自己アピールとして必須です。

が、もし教育担当に応募するのであれば、後輩や若手の教育やサポート、チーム内でのナレッジの共有(の仕組みづくり)など、教育に関するアピール「も」すべきなのです。 このことは、特に職務経歴書で記すことになるので、以下職務経歴書に絞って話を進めます。

(2)ダメな職務経歴書

筆者はこれまで、多くの方の転職支援をするなかで、数々の職務経歴書を添削させていただきました。

そのなかで、よく見かける職務経歴書のダメなパターンがあります。

簡単に言うと、これまで担当してきた業務を脈絡なくリストアップしたものです。

ひどいケースになると、ひたすら文章で何をしてきたかを書き連ねているものもあります。

「え?職務経歴書って、担当してきた業務を書くものではないのですか?」

という質問が飛んできそうですが、それは違います(正確に言うと、それでは不十分と言った方がよいかもしれません)。

実は、特にCRAやMRのような専門職は、それではダメなのです。

本当に書かなくてはいけない事項の骨格は、以下の3点となります。
・与えられたミッション
・そのミッションから来る具体的な役割と目標
・目標の達成度合い
言われてみれば当たり前のことではないでしょうか?

しかし、これらの3つの項目を職務経歴書に記載できている人はほとんどいません。

医師に例えてみましょう。

どんなに検査や診断の知識が豊富で上手でも、病気を治してくれなければ、良い医師とは言わないですよね。

なぜなら、医師のミッションは(難病や特殊な病気でない限り)病気を治すことであり、「検査経験が豊富です」「診断をたくさんやりました」とアピールされても、患者としてはそこがゴールではないからです。

顧客は「行為」ではなく「価値」を求めています。

そのため、採用企業は「業務ができる人」が欲しいのではなく「成果を出せる人」「顧客に価値を提供できる人」が欲しいのです。

ある業務ができる/経験があるというのは、あくまで成果を出せる根拠としての位置付けでしかありません。

とはいえ、実はCRAに限らず医療従事者の中には、「検査経験が豊富です」「診断をたくさんやりました」といったことを自己アピールするケースが少なくありません。

特に、30歳未満の若手の場合、このような書類でも書類選考は通過することも少なくありません。

しかし、そのような書類作成をしていては、応募ポジションに応じたアピールポイントの整理ができておらず、面接で突っ込まれ、うまく答えられず撃沈してしまうのです。

面接対策という意味でも、職務経歴書を記入する段階で、しっかり自身の経験やキャリアを棚卸しておきたいものです。

(3)良い職務経歴書

ここまで説明してきたように、まずは与えられた役割と目標に対し、その目標をしっかり達成した点を職務経歴書に入れることを忘れないでください。

さらに「良い」経歴書にするには、その次に、応募ポジションにつながる経験や成果をしっかり書きたいものです。

もし、目標達成に至るポイントが、
①戦略的な症例獲得プラン
②チーム内の情報共有による他施設での成功事例の援用
③未経験者、新人のマネジメントと症例獲得業務への注力
と複数あった場合、応募ポジションがプロジェクトリーダーであれば「①②③をトータルで設計し進めていった」という表現が好ましいでしょう。

一方、応募ポジションが教育研修であれば、①や②はそこそこに、③を厚く書いて強調したほうがよいでしょう。

このように、応募職種やポジションに合わせた職務経歴書を用意すると、書類通過率が上がるだけでなく、面接でも応募ポジションと自身の経歴・経験が重なるところで会話が弾むので、質疑応答もスムーズになります。

以上ですが、応募先候補に合わせて戦略的な職務経歴書を作成することは、実は面接にも好影響を与え、良い転職活動につながります。

そして、こういった職務経歴書を書けるかどうかは、実は自分のwillをしっかり持って、ブレずに応募先を選んでいるかにかかっているのです。willがわからなくなった方は再度こちらの記事で確認してみてください。
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