STEP2.本当にやりたいことを見いだす

転職の進め方とコツ キャリアUP/年収UP転職術 2021.09.01

 Ⅰ.「やりたいことが見つからないんです」~青い鳥症候群の転職活動~

 前の記事で、転職では中長期的なキャリアを考えることが大切であることを説明しました。その中長期的なキャリアを考えるためには、たとえ仮説的なものであったとしても、まずは「本当にやりたいこと」を見いだす必要があります。

 しかし、

「やりたいことが見つからないんです」

「やりたいことをどうやって見つければいいのかわからないんです」

とおっしゃる求職者の方も少なくありません。

 そうなってしまうありがちな要因がいくつかありますが、ここでは一つのパターンを挙げます。それは、「できること(can)」「やるべきこと(must)」で転職先を考えてしまうというものです。

典型的なのは、

「今CRAなのだけれど、CRA経験を活かしつつも、もっと自分の能力を発揮できる仕事をしたいのですよね」

「今56歳。60歳定年後の再雇用で年収が大幅に下がる。だが、子どもがこれから大学生になりお金がかかるので、65歳まで今の年収を維持できる仕事がしたい」

といったものです。「~したい」と、あたかも自分のwillのような表現で語られていますが、実は前者はcan、後者はmustから来た思いだということは容易に理解できると思います。

そして、前者のようなご希望をおっしゃる方には色々と求人を案内します。すると、

「サイトスタートアップやin house CRAは、内勤職でワークライフバランスは良さそうだけど、それだったらCRAの方がやりがいが、、、」

「データマネジメントは、年収が下がりそうだし、、、」

「医薬品のプロモーション資材を作成するメディカルライティングは、やることは頭では理解できるけれど、なんとなく興味も実感がわかない、、、」

「製薬業界向けの経営コンサルタントは、やりがいはありそうだけれど、難しそう、、、」

といった感じで、個々の求人ごとに懸念などを挙げては、「う~ん、しっくりこない」となりがちです。

 どこかで、やはり自分の「やりたいこと(will)」やありたい姿がぼんやりとあり、そことのギャップを漠然と感じ、どれもしっくりこないのでしょう。それで、さらにたくさんの人材紹介会社に登録し、さらに多くの求人を見に行くがやっぱり「ピンとくるものがあまりない」といった状況となり、自分がやりたいことがますますわからなくなります。また、沢山の転職サイトや人材紹介会社に登録したにもかかわらず良い求人に出会えないがために、「やりたいことが見つからない/見つける方法がわからない」という悪循環に陥っていきます。青い鳥症候群といったところでしょうか。

このことわかりやすいイメージで言うと、ソニーとパナソニックを相対比較しても、結論は出ないということです。というのは、どちらも良い会社であるとともに、個々の良さがあるがゆえにその個性は、ある人にとってはマイナスに感じられるからです。筆者が持っている勝手な印象ですが、ソニーは斬新でデザイン性の高いものを追求する印象、パナソニックアは質実剛健で機能性・耐久性を大切にする印象です。したがって、斬新なものが好きな方であれば筆者はソニーをより強くお薦めするということになります。

ここで何を言いたいかと言うと、自身のwillをまず先に見いだし、そのwillにより共鳴するものが多い職種/会社はどれか? という視点で評価することが大切だということです。自身のwillが明確でない限り、就職先としてのソニーとパナソニックの優先順位はまずつけられないでしょう。

 

 

Ⅱ.Will (やりたいこと)にどう向き合うべきか?

以上から、「本当にやりたいこと=will」を見出す作業を先にすべきだということはご理解いただけたでしょうか? 理解していただけたとして、次に重要なのはその向き合い方となります。

多くの方は、最初、

「プロジェクトリーダーになりたい」

「長く安定して働き続けることができる会社に行きたい」

「経営者になりたい」

といった、自分自身に向いたwillをおっしゃいます。

でも、人に何かを提供し対価を得るという行為がビジネスであるならば、ビジネスでのキャリアはまずあなたが貢献したい顧客に向いたものであるべきです。つまり、自分自身がどうなりたいかよりも、

「誰に、どうハッピーになってほしいか? 誰にどうハッピーになってもらえたら、充実感や満足感を得られそうか?」

という観点から考えることが重要です。

考えてもみてください。あなたが顧客(例:患者)として気にかけるのは良い製品やサービスか(例:より良い治療薬が届けられるか)どうかであって、

「この治験を担当しているCRAのワークライフバランスが良くなるか?」

「この治験を担当しているCRAが、65歳まで収入を維持できるか?」

はどうでもいいですよね?

そして、そのような観点で自身のwillに向き合わないと、自身の地位や収入、ワークライフバランス、安定性などが先に立ってしまい、自身のやりたいことが曇っていき、青い鳥探しが始まってしまい、袋小路に迷い込んでしまうわけです。

さて、「誰に、どうハッピーになってほしいか?」が見えてくれば、それを実現するために、どんなことをすればいいかが見えてきます。例えば「うつ病で苦しむ人を、日常生活に戻れるよう支援したい」と思ったとき、精神科医や心療内科医、心理カウンセラー、抗うつ剤の研究者/医薬品開発者、うつの発症機序の基礎研究者、うつ病治療の医療機器開発研究者、ソーシャルワーカーなど、具体的なイメージに結びつきやすくなります。

ちょっと脱線しますが、こういう思考は採用選考にもプラスに働きます。

「臨床開発部門の部門責任者を目指しており、上が詰まっていない御社あればプロモーションしやすいと考えて応募させていただきました」

という候補者と、

「うつ病で苦しむ人を助けたくて、精神科領域の薬剤開発・マーケティングに強い御社に応募しました」

という候補者がいたら、どちらの方がより採用される確率が高いと思いますか? 後者の方が採用される場合が多いはずです。なぜなら、企業は顧客に価値提供してくれる人が欲しいからです。

 

 

Ⅲ.フレームワークを使いWill(やりたいこと)を見出す

とはいえ、向き合えば簡単にwillが見えてくるというものでもありません。そこでいくつかのアプローチがあります。一番使いやすくて整理しやすいのは”will/can/must”のフレームワークを使い、自身の「やりたいこと、できること、やるべきこと」をとにかくざっと洗い出すことです。そのうえで、実は「これはcanだった」「これはmustだった」といった形でより詳細に整理していくというものです。

他にもライフラインチャートなど、色々とツールはあります。このあたりは、特にCDA等のキャリアカウンセラー資格や、国家資格のキャリアコンサルティング技能士の資格を持っている転職エージェントに相談するとよいでしょう。

 

それから、見えてきたwillが、今の自分で即実現できるものではない場合があります。恐らく実現には時間がかかるものが多いでしょう。そのとき、自分には無理と思うのではなく、それを510年、ときには20年かけてどう実現するかを考えればいいのです。その中長期的な見通しのなかで今何をすべきか、どんな知識と経験を得るべきかを考えれば、目の前でどんな転職をすべきかが自ずと見えてくるはずです。

また、転職だけがキャリア開発の手段ではないので、MBAで学ぶ、プログラミングを習得する、資格を取るなどに2年程度時間をかけ、その後転職するなど柔軟にキャリアプランを立てていくと、少しはモヤモヤも晴れていくと思います。

 

ちなみに自身のwillがあまりに特殊すぎて、世の中にある職種や組織(会社、行政等)での実現があまりに無理な場合、それは起業すべきということになります。それを、既存の枠組みでやろうとすると、また青い鳥探しに戻ってしまうのでご注意を。

 

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STEP1.「転職」を意識した時、本当に考えるべきこと
STEP2.本当にやりたいことを見いだす
STEP3.業界や職種に関する情報収集 ~やりたいことに近づく仕事を探す~
STEP4.応募書類の作成(特に職務経歴書の戦略的な書き方)
STEP5.応募と選考対策
STEP6.内定通知書の確認ポイント・条件交渉
STEP7.現職との退職交渉
STEP8.転職先への入社後

       

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