PMS(製造販売後調査)
Post Marketing Surveillanceの略で、医療用医薬品の製造販売後、日常診療で使用された際の当該医薬品の品質・有効性・安全性を確認するために製薬会社等(厳密には「製造販売業者」等が行う調査のことです。特に治験ではわからなかった(=添付文書に記載のない)副作用が発現する場合があるため、その情報を収集・分析し、医療関係者へ報告することで、医薬品のリスク最小化や適正使用につなげていきます。
このPMSはGPSP(医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令)第2条に規定されている調査・試験です。
【GPSPに定められた製造販後に行う各種調査・試験】
*以下、カギかっこ内は、GPSP(医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令)からの引用)
●使用成績調査
「医療機関から収集した情報を用いて、診療において、医薬品の副作用による疾病等の種類別の発現状況並びに品質、有効性及び安全性に関する情報の検出又は確認のために行う調査」のことです。
調査の目的に応じて以下の3つに分かれています。
①一般使用成績調査:医薬品を使用する者の条件を定めずに行う調査
②特定使用成績調査:特定の条件(小児、高齢者、妊産婦、腎機能障害又は肝機能障害を有する者、長期に医薬品を使用する者等)を定めて行う調査
③使用成績比較調査:特定の医薬品を使用する者の情報と当該医薬品を使用しない者の情報を比較することによって行う調査
いずれもMRなどが、当該医薬品の処方を出している医師に依頼し、調査票を回収するというかたちで調査を実施します。
●製造販売後データベース調査
「医療情報データベース取扱事業者が提供する医療情報データベースを用い、医薬品の副作用による疾病等の種類別の発現状況並びに品質、有効性及び安全性に関する情報の検出又は確認のために行う調査」のことです。
医療情報データベース取扱事業者が提供する医療情報データベース(電子カルテ、レセプト、DPCデータなどを集約したもの)を用い、医薬品の副作用情報・品質・有効性・安全性に関する情報収集を行います。
「治験、使用成績調査若しくは製造販売後データベース調査の成績に関する検討を行った結果得られた推定等を検証し、又は診療においては得られない品質、有効性及び安全性に関する情報を収集するため」に行う試験です。
例えば、通常の診療下では得られない(=上記の調査では得られない)、特異な検査が必要である等の情報を取得する場合に実施されます。
臨床試験のため、GPSPだけでなく、GCPにも準拠するかたちで実施されます。そのためCRAが医療機関に製造販売後臨床試験実施を依頼し、症例報告書を回収することで、情報を収集します。
※なお、「市販直後調査」はGVPに基づく調査のため、PMSではありません
上記GPSPで規定されている製造販売後調査等で収集された情報については集計・解析等されたうえで、
①承認された医薬品の品質・有効性・安全性の再確認を一定期間内におこなう再審査制度(薬機法第14条の4)
②現時点での医学・薬学レベルの観点から医薬品の品質・有効性・安全性を見直す再評価制度(薬機法第14条の6)
における申請資料を構成するデータとして、製薬会社等は厚生労働省(手続き上はPMDA)に提出します。
この再審査制度で、申請された効能・効果が認められない、有害な作用がある等があった場合は承認の取り消し、効能効果の削除・修正の措置が取られます。
また、再評価制度でも、現在の評価基準では有用性が認められないと判断された場合は承認の取り消しや効能効果等の削除・修正の措置が取られます。
そのため、PMSは製薬企業にとって大切な調査・試験になります。