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2024-05-27 17:45

「派遣型CRA」について知る 1 ~ 派遣型(外部就労型)CRAから、製薬会社を目指すというキャリア ~

「派遣型CRA」について知る 1 ~ 派遣型(外部就労型)CRAから、製薬会社を目指すというキャリア ~
CRAの働き方としての「派遣型=外部就労型」。実は多くのメリットがあるのにあまり知られていません。その業務内容やメリットを説明します。

CROのCRAの方には、製薬会社への転職を希望されている方が多くいらっしゃいます。しかし、製薬会社の正社員採用における選考基準は、CROのそれと比較し、はるかに高く、内定獲得はかなり難しいものとなっています。さらに、近年は製薬会社でのCRAの募集はあまり多くなく、そのことも内定獲得をさらに難しくしています。そして、競争相手(他候補者)が製薬会社出身のCRAとなることも少なくなく、そうなるとCROでしかCRA経験がない方は、応募要件を満たしていても、相対比較で見送りになりがちです。

 

実際、CROのCRAの方で、製薬会社のCRAポジションに複数応募して、結局内定を得られず、やむなく年収や就業環境重視に切り替え、他CROに転職されたという方も多くいらっしゃいます。

 

ただ、最初から正社員で応募するという他に、製薬会社を目指す方法があります。それが、派遣型CRAという選択です。

ちなみに、同義で「外部就労型」という表現も使われますが、ここでは「派遣」で統一します。

 

 

■派遣型CRAとは

まず、「派遣」ですが、派遣元企業が自己の雇用する労働者を、派遣先の企業との派遣契約に基づき、派遣先企業の指揮命令下で労働に従事させることを言います。派遣労働者から見れば、派遣先企業の指揮命令下で労働に従事することを言います。

そのCRA版が、派遣型CRAということになります。

 

多くのCROは、委受託で臨床開発業務を受けています。委受託の場合、CRAは自社(CRO)のオフィスに勤務し、CROの名刺を持ち医療機関をまわることが一般的です。

一方、派遣型CRAは、派遣先の製薬会社のオフィスに勤務し、その製薬会社のモニタリングチームやスタディチームのリーダーの指揮命令のもと、製薬会社の名刺を持って医療機関をまわることとなります。

 

 

■派遣型CRAのメリット ―なぜ製薬会社を目指すことにつながるのか?-

上記の通り、製薬会社のなかで働くことになるので、CROでは滅多に担うことのない業務を多々経験できることとなります。また、受託業務(例:モニタリング業務)を期待通り完遂するということ以上に、承認申請まで見据えて「世に新薬を送り出す」という視点やマインドをより強く持てることもメリットです。

そのような経験を積むことで、製薬会社から評価されるCRAに成長できるため、製薬会社を目指すことに直結することとなります。

何より、ベストな成功パターンとして、派遣先の製薬会社にスキルと人間性を評価され、その派遣先に正社員として迎え入れられることも多々事例があります。この場合、自身も職場のことをよくわかっているので、一般的な転職のリスクを負うことなく、キャリアアップできることとなります。

 

ちなみに、本稿の監修をしてくださった派遣型CRAビジネスを主事業されている株式会社アクセライズ(以下、アクセライズ)では、派遣型CRAの、派遣先への転籍を積極的に支援されているそうです。

なお、「派遣」と聞くと、「雇用が不安定では?」「一つのプロジェクトが終わると雇用契約も終了するのでは?」という懸念の声を聞きますが、アクセライズではCRAの方と正社員としての雇用契約を結んだうえで、派遣を行うので、雇用の安定性も問題ありません。

また、派遣先での勤務年数の上限があるという派遣法の情報を得て、派遣先を転々とするのではというイメージがあるかもしれません。しかしながら、アクセライズのように派遣元で正社員雇用されている場合、派遣法における派遣先での勤務年数の制限は適用されないため、その点も安心です。

 

 

■派遣型CRAの業務内容の特徴

もちろんCRAですので、当然業務の中心はモニタリングとなります。そのモニタリング業務において受託型のCROに比し、自社(=派遣先)で意思決定ができるので、業務が非常にスムーズであることは、派遣とはいえ製薬会社のなかで働くことの大きなメリットです。

ただ、上記で述べた「CROでは滅多に担うことのない業務」に携わることができるということが、派遣型CRAのより大きな特徴となります。アクセライズの派遣型CRAの紹介資料では、派遣先によっては、「・・・、治験実施計画書の作成からPMDAへの治験相談、割り付け業務、治験統括報告書の作成など、・・・」に関与できる場合もあるとのことです。当然、そういった業務を通じて、薬事や非臨床部門の担当者、メディカルドクターなど、様々な部署・役割の方々と接する機会を持つことができ、視野を広げることができます。

また、そういった過程で、製薬会社が「新薬を世に送り出す」ために、どういった情報を重視し、どのように意思決定していくかを垣間見ることができることも、CRAとして、さらには臨床開発パーソンとして成長できる業務環境となります。実際、派遣の立場でCRAからスタディマネージャーにステップアップされる方もいます。

 

 

■派遣型CRAになるには

派遣型CRAになるには、派遣事業を行っているCRO(以下、派遣型CRO)に転職していただくことがベストな選択肢となります。本サイトの「無料転職支援サービスを受ける」から、転職相談の申し込みをしていただくと、派遣型CRAについてさらに詳細な情報提供や、派遣型CROへの転職・選考サポートをさせていただきます。

 

ぜひ、派遣型CRAもキャリアの選択肢の一つとしてご検討されてはいかがでしょうか。

 

 

●執筆者:inspire株式会社 代表取締役 吉原 貴

 

大手人材派遣会社での新規事業立ち上げ(製薬関連)、製薬関連企業(CRO)での営業企画・人事・経営企画、戦略/人事系コンサルティング会社でのコンサルタントなどを経て、inspire㈱を立ち上げる。

人材紹介コンサルタントとして多くのメディカル人材の転職支援実績を持つ。また、キャリアカウンセラー/コーチとしてキャリア全般の支援も行っている。

また、このMedical Career Platformの運営にも携わる。

 

≪資格≫

2級キャリアコンサルティング技能士(国家資格)

キャリアカウンセラー(JCDA認定)

 

●監修:株式会社アクセライズ

派遣型CROの主要プレイヤーの1社。派遣型CRO企業では派遣案件数トップクラスを誇り、社員であるCRAの意向に沿った派遣先とのマッチングに定評がある。また、派遣CRAのフォロー担当(メンター)として、製薬会社とCROの両方でのCRA経験を持った者や、臨床開発プロジェクトリーダーとして承認申請(CTD作成、申請時当局対応など)まで経験した者も配置しているため、CRAの方の日々の実務の悩みや相談から、CRAの次のキャリア、中長期的なキャリア構築などまで、的確なアドバイスや丁寧なフォローを行える体制を整えている。

 

*会社概要(本サイトの「企業辞典」に飛びます)

https://medical-carrer-p.com/dictionary/companies/01hy2kqkgtf841eaznrfemsq3d

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